感情コントロールできない高齢者とその対策:【すぐキレる、すぐ怒鳴る】

(最終更新日:2020/06/18)

概要
近年、感情コントロールができない高齢者が増えているとさまざまなメディアが報道しています。
例えば「スーパーの万引き」、「すぐキレるシニア世代のモンスタークレーマー」、「高齢者による性犯罪」・・・・・・など枚挙にいとまのないほど情緒不安定な高齢者の問題行動が我々の日常生活において、より指摘されるようになってきています。
今回は感情をコントロールすることができない高齢者が増えた原因とその対策について述べていきます。

目次:

高齢者が感情をコントロールするのが苦手な主な原因

高齢者が感情コントロールしづらかったり、できなかったりする原因は、大脳とくに前頭葉といわれる部位の機能低下が主な原因です。

一般に、加齢に基づき、この前頭葉の機能は低下していくことが知られています。

MEMO
年を経ることで、涙もろくなるというのも全く味気ない話になってしまうのですが、前頭葉の機能低下によるものなのです。
高齢者のイライラもこのことに無関係なはずはありません。

なぜなら、「悲しみの感情」も「怒りの感情」も同様に前頭葉の支配下にあるわけで、感情コントロールの司令塔である前頭葉が機能低下すれば、悲しみで涙もろくもなりますし、同時に些細なことにキレて、イライラし、怒りやすくもなるのです。


また、前頭葉の機能が低下すると、感情コントロールの問題だけでなく、計画性、判断能力といった高度な人間性に関わる機能が同時に欠乏することが科学的研究により知られています。

こうして、前頭葉の機能低下が続くと、極めて衝動性が強い人間、計画性のない野放図な人間、自制心の低下した人間になっていくことが既にさまざまな知見から報告されている事実なのです。

前頭葉の機能低下は老化によるものだけでは断じてない理由

20、30代の若いころは、ヒトの前頭葉は活発に働いています。しかしながら、老齢期になっても手に職をつけられているお年寄りの多くは、みな、元気でかくしゃくとされています。

MEMO
高齢者になっても若者以上にしっかりと自らを自制し、高度な紳士淑女的な振る舞いを持続できている方がいます。

彼ら彼女らは何が他の高齢者とは違うのでしょうか?

仕事や運動の認知機能(脳)への劇的効用

仕事は前頭葉の機能を強化し、ボケ、認知症等を事前に予防します。

MEMO
仕事をしていると人に会って話をしたり、商談を成功させようと必死になったりしますので、
頭をかなり使います。
また、仕事をしていれば必要最低限、体をいやでも動かすことにもなるので、それによって前頭葉の認知機能も強化されているわけです。
体を動かす習慣をつけることは前頭葉を鍛え、強化するということが科学的にわかっています。)

(参考:)
有酸素運動で感情をコントロールする方法
筋トレで感情をコントロールする方法【まとめ】

ところが、近年、日本人全体で、「一億総サラリーマン化」が進み、自営業者の人口が減り続けてきています。

そして、定年退職したサラリーマンは、手に職をつけるでもなく、時間を持て余しがちです。

このような”何もすることがない状態”が長期間続くと、頭を使う必要性が日常生活から喪失しますので、その悪習が前頭葉の機能低下を招き、
感情コントロールが利かない高齢者予備軍の醸成に一役買ってしまっている可能性がかなり高いのです。

また、刺激のない生活というのも脳科学的に、脳に非常に良くなく、たとえば、独居房に入れられた囚人が
精神的におかしくなり、廃人になってしまったりするのは、外部からの刺激がほぼ完全に遮断されるためなのです。

このように、刺激がない生活も頭を使わない生活も脳、とくに前頭葉に極めて有害なのです。

運動不足、栄養欠乏、認知機能を低下させる生活の継続

また、現代人の食生活は栄養価が非常に乏しく、カロリーだけは莫大ですが、栄養不良の農作物、化学薬品まみれの食生活を継続することによって、脳内で認知を鋭敏にしたり、精神を安定させるのに大切な神経伝達物質やホルモンが十分に作られなくなってきていることも同様の要因として考えられます。

ビタミン、ミネラルなどの栄養素が脳内を行き来する神経伝達物質の補因子になるのだから当たり前の話ですが、多くの人はこのことを恐ろしいほど軽視しています。

ビタミン、ミネラル(栄養素)の欠乏が招く感情コントロール障害
たとえば、ビタミンやミネラルが欠乏することで、感情コントロールができづらくなり、イライラや恐怖、悲しみが制御できなくなるという状態に陥りやすくなるということは栄養学の常識的事実です。

(参考:)
感情コントロールに効く!サプリメント【まとめ】

1980年代、尾崎豊が脚光を浴びていた頃、「キレる若者」という言葉が流行しました。

そして、今度は、「キレる高齢者」「キレる中高年」という言葉というか概念が、2010年前後からマスメディアでも騒がれるようになってきているわけです。

 

MEMO

要するに、高齢者に限らず、現代人は若者、中高年、高齢者に関わらず、みな一様にキレやすくなっているという話になります。

換言すれば、感情コントロールができない人間が先進国において続々と増えているという話です。

 

高齢者の感情コントロール対策:

感情コントロールができない高齢者の方自身への対策は、温故知新です。
江戸時代の頃の日本人の生活を振り返るべきということです。あの頃の日本人は、運動面、食生活面、人間関係面でも仕事の面でも非常に理想的な生活を営んでいました。フランスのパリは江戸を再現したモノだと言われています。

当時、来日した異邦人が、その素晴らしさに目を疑ったというわけです。

そういうわけで、感情コントロールの基礎の一つとして、昔の生活を部分的にでも参考にし、実際に取り入れるということ。
これが高齢者の感情コントロール問題に対する対策になります。
以下の①②③に目を通されてください。

①正しい食習慣(栄養が豊富な食物を食べるようにする)
②日常生活で十分に体を使い運動不足を解消する(なるべく歩くようにする。ジョギングや筋トレの習慣をつける)
③サプリメント等で不足している栄養素を補う

こうした基本的なことを省みることで、高齢者の感情コントロールの問題は劇的に改善されていくというわけです。

このような基本的なものほど著しい効果が現れるということが真実ですので、こういったものから着手していくようにしましょう。

(こちらの記事もオススメ!)
感情コントロールの方法【まとめ】
有酸素運動で感情をコントロールする方法

まとめ

高齢者が感情コントロールできない、しづらい原因は、老化に基づく前頭葉の機能低下が主な原因ではありますが、
決してそれだけではなく、刺激のない生活や体を使わない生活スタイルの定着、
微量栄養素の不足などがクリティカルなファクターになっています。

この種の問題への対策は、これらのファクターを生活習慣から除去することをまず第一に考え、それらを除去する健全な生活を送るようにすることです。

それによって、高齢者の感情コントロール問題は思っているよりもずっと容易に解消されていくはずです。

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